関西弓道史(人物編 その1)

尼崎弓道倶楽部で弓道を始めた方には、実技だけでなく、弓具の扱いや弓道の歴史についても知っておいて欲しいと思っています。ここでは、尼崎弓道倶楽部の指導員が、コラム形式で弓道に関する様々なことをつぶやいていきます。質問や記事のリクエストも受け付けています。

まずは、弓道の歴史(弓道史)ということで、指導員Kが担当致します。戦前の関西には、様々な流派が存在していました。なかでも、竹林流の岡内木氏は多くの弟子を育てられました。ここでは、岡内木氏に関して紹介していきたいと思います。


岡内木(おかうち こだち)

・生没年:1848年〜1925年(大正14年没、享年78歳)

・流派など:紀州竹林派(第十一世)、大日本武徳会(弓道範士)


 岡内木氏は、高松藩弓術指南役の家に生まれ、幼少の頃より弓の稽古に明け暮れていました。明治維新後は、神戸市に居を移し、多くの弟子を育てました。主な弟子には、岡井満氏(岡内氏の甥、紀州竹林派十二世を継ぐ)、宇野要三郎氏(全日本弓道連盟初代会長)、小澤廣氏(氵に廣)、大島翼氏、上田仁一氏、遠藤嵯峨夫氏、馬場良昌氏、片岡吉正氏、中村勝太氏、小西武次郎氏などがいました。岡内氏の紀州竹林派の系統は、氏の甥である岡井氏へと継承されましたが、残念なことに岡井氏の後には継承されませんでした。しかしながら、岡内氏の系統の方は、関西に広く残っております。特に、関西学院大学(小澤氏とその弟子の古塚緩氏や寺内弘氏が指導)や甲南大学(小澤氏、寺内氏が指導)は大学弓道の強豪校として名を馳せています。また、小澤・上田・寺内の各氏は、神戸商船大学、大谷大学、大阪大学、和歌山大学などの指導もしていたようです。

 関西には、岡内氏の系統以外にも竹林派の方が多くいらっしゃいました。竹林派には、紀州竹林派と尾州竹林派があります。岡内氏と同系統の紀州竹林派の弓道家として有名な方に、山東直三氏(芦屋白鳥道場)がおられました。山東氏の門下生として、三十三間堂の通し矢で天下一を成し遂げた和佐大八郎氏の末裔である和佐尚寛氏(和佐家十七代当主、尼崎市在住)が知られています。この方が所有していた和佐家伝来の弓具は、現在は田辺市に保管されています。一方、尾州竹林派としては、関口源太氏の弟子である柴田勘十郎氏(十九代)や小林治道氏の體勇社(小林氏は後に審正館を設立)が有名です。この系統は、同志社大学などに伝わっています。


【参考文献】弓道人名大辞典、弓道講座 他

 


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